「リスキリング」で心もスキルも豊かになる

「リスキリング」という言葉をご存知でしょうか?
私自身は「学び直し」という意味に捉えていたのですが、
リスキリングJAPANカンファレンス2022 に参加して
イメージが変わりました。
このカンファレンスは友人であり、人材業界の大先輩
森本千賀子さんがゲストと知り、参加しました。



オープニングセッションは、豪華なお二人。
ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事
後藤 宗明 氏 ✕ ジャーナリスト 浜田 敬子氏
「リスキリングが国や企業、個人にもたらす幸福と成長とは?」
というテーマ。

実は、以前から、浜田さんの大ファンなのですが
今回も非常に分かりやすい進行で、素晴らしかったです。

「リスキリング」という言葉を後藤さんが知った
きっかけは、2016年テック企業の海外営業をしていた
アメリカ出張中に、新テクノロジー分野の国際会議 で
Reskilling” という言葉が何度も使われていたそうです。

日本では、2020年4月、リクルートワークス研究所の
年間研究プロジェクト「DX時代のリスキリング」が
採択され、後藤さんがそのPJに参加・協働研究し
レポート発刊されたことにより、
2021年1月1日、ついに日本経済新聞で初めて
リスキリング」という言葉が紹介され、
「2021年は日本におけるリスキリング元年」
となったそうです。まさに、最近なんですね!

後藤さんのnoteに経緯が詳しく書いてあります!

「リスキリング」は 学び直しという意味?
後藤さんによると、「リスキリング」は
日本では「学び直し」と訳されるけれど、
個人が学び直しをする、という意味だけでなく
企業側が、会社の事業が変わることにより
社員に「リスキリング」を提供し、
社員が学んだことを実践し、仕事が変わる

ところまで含む、のだそうです!

例えば、これまで自動車製造に携わった方が
スマートシティ構想のために、
リスキリングして、新規事業に従事する、
というイメージでしょうか。

私の頭をよぎったのはコロナ禍初期に、
シャープが急遽マスク生産をしましたが
これも一つの「リスキリング」だったのではないか、
と思いました。

経営戦略/事業の組み換え/ジョブトランディション
など企業イメージが強いですが、
欧米では、国家や業界団体自体が「リスキリング」
機会を提供しているそうです。

紹介された事例で言うと、
自動車業界において、EVシフトが進む中、
日本と欧米では議論の違いがあるそうです。
・日本の労働組合:雇用が失われる
・ドイツなど欧米の労働組合:EVシフトに対応するため
「リスキリング」機会を要求(技術が古くならないように)

その他のセッションでも、北欧では
「安心してクビになれる」環境がある
という話が出ていました。
国がドラスティックに成長産業以外を潰すため
離職する人は出る。でもその離職者に、国が
「リスキリング」機会を提供するので
新たなことを学ぶ事ができるそうです。

日本では20代でない限り、未経験で転職することは
大変です。
後藤氏は40歳から「リスキリング」し、
IT企業へ転職する際に100社以上応募した話を、
浜田さんは朝日新聞からWEB媒体を扱うベンチャー
へ転職し、編集やマネジメントでは自分のスキルを
提供しつつ、テクノロジーに関しては20~30代の
部下に教えてもらい、スキルを貸し借りしあった
経験を話してくれました。

自分のスキルを惜しみなくGiveすること、
恥ずかしがらずに「これってどういうこと?」
と聞くことが大切と話していました。
これは、最近よく言われている、心理的安全の場
があることが大前提かも知れません。

私自身も、30代までメーカーで貿易の仕事をしつつ
38歳でキャリアコンサルタント資格を取得し、
40歳からキャリアチェンジした経験があります。
退職後、ファイナンシャルプランナー資格を活かし
保険業界営業を経て、人材業界に入り、その後
2014年に人材紹介(転職支援)で起業。
2017年にウェルビーイングを学び、講座や研修を
行っているので、何度も「リスキリング」
してきたことを、改めて実感しました。

欧米では、コロナ禍を機に会社を辞めたり転職したりする人が急増し、
昨年から「大退職時代」が本格的に到来したと言われています。
お二人から、個人が成長する機会を与えない企業は
退職する人が多くなるだろう、という話が出ました。
優秀人材の流出を避けるために、あるいは、
逆に出戻りを受け入れる等、
企業は柔軟な対応が求められると感じました。

「リスキリング」の前にValueを考える

1番目のセッションは、
「欧米で起きているリスキリングを、カルチャーと
テクノロジー起点で考察する」

AT&TやAmazonの事例を基にゲスト3人の方の
お考えを伺いました。
まずはValueを考えてから、そのための「リスキリング」
を検討する、という戦略的志向が大切というお話でした。

個人的には、ATDインターナショナル
ネットメンバーネットワークジャパン  理事
浦山 昌志 氏がセッションの最後に仰っていた
「イノベーションの鍵はLearnability:ラーナビリティ。
 自分のスキル以外のこと、 芸術や心理学など
 一見関係のないことを知ることが幅を広げる」
という言葉が響きました。

日本人は「リスキリング」耐性がある?
「リスキリング」と言うと、ハードルが高い
イメージがあるかも知れません。
2番目は、「日本の大企業が取り組むべき、
リスキリングの陰と陽」というテーマで
大手企業によるセッション。

リクルートワークス研究所のWorks 編集長
佐藤 邦彦氏によれば、
日本の総合職採用は、ジョブローテーションがあり
実は「リスキリング」していて、実は耐性はあると。
やらされ感で学ぶのではなく、能動的に学び、
経営戦略、DXをプラスすれば良いのだと。
また、 経営トップがビジョンを示し、
ひとりひとりがご機嫌に働けるキャリアを考え
経営と社員、両輪を回すことの必要性を
最後に伝えていました。
これはウェルビーイングに通じることで
非常に納得しました。

日本マイクロソフトの チーフラーニングオフィサー
伊藤かつら氏は、これまでDXの必要性が分かっていても
動かなかった日本企業が、コロナ禍において
ビックリするほど、一気に進みだしたと。
日本が好きになり、未来は明るいと話していました。
伊藤氏によると、日本人はレジリエンスが高く
ポジティブなモニャモニャ文化なのだと、笑。
モニャモニャしながら楽しくみんなで学び合うことで
変わっていくことを推奨していました。

「リスキリング」はまずは日々の業務から
最後のセッションテーマは、
「リスキリングが日本の雇用に与えるソーシャルインパクトとは?」

リクルートワークス研究所 人事研究センター長 石原 直子 氏は、
「リスキリング」やDXを特別視するのではなく、
実は、日々の業務をデジタル化することなのだ、
と話していました。

前述の後藤氏からは、デジタル嫌いの方には
生活をデジタル化することを勧めるとの話がありました。
例えば、スマートスピーカーやお掃除ロボット(ルンバ)
などを使ってみるということです。

弊社でも、LINEなどのSNS、ZOOM、slackなどを
使ってみましょう、と求職者の方に伝えています。

私自身もデジタルに強い、というほどではないので
DXに向けて、今年は「リスキリング」しようと
痛感する機会になりました。
昨年Salesforceを導入したものの使いこなせて
いないので、年度内に学びます!

まずは日常の小さな業務を「リスキリング」した
スキルでDXによる効率化をし、
余剰時間は仲間とスキルを相互補完しあい、
楽しく学びあう、そんな時間が増えたら
心もスキルも豊かになる、と
今日のカンファレンスに参加して感じています。

4時間の濃い内容を、全く伝えきれていませんが
「リスキリング」という言葉を調べ
興味を持っていただくきっかけになれば嬉しいです。
ご参考↓
リクルートワークス研究所
「Works Report 2020
リスキリング ~デジタル時代の人材戦略~ 」

あなたのしあわせとチャレンジを応援しています。